印象に残るヤマメ・アマゴ釣り たった一匹の、最初のヤマベ 広瀬靖彦 やっぱりいた 長谷川久芳 家のまえのおまえ 田中典康 落葉ヤマメ 備前 貢 一〇匹のヤマメ 木住野 勇 辛抱たまらない気持ち 野々垣洋一 減水ヤマメ 余語 滋 丸太のような銀毛ヤマメ 久野 誠
東京のヤマメ釣り場/多摩川復活の日はあるか ■一二〇〇万人がひしめく東京都の西部を横方向に貫くように流れている多摩川。その水は、上流から下流まで全域にわたり古くから人間に利用されつくしてきた。東京都の水源林として最上流部の森林はほぼ手つかずのまま保護されているが、小河内(奥多摩)ダムでせき止められた水は、東京湾に流入するまで随所で堰やダムで分断され、導水パイプや水路で発電所や貯水池へと運ばれていく。小河内ダムより下流の多摩川は、堰やダムで取水された残りの水と支流から流れ込む水で維持されている。人間が放水を止めればすぐに死んでしまう人工の大河だ。 ■多摩川の渓流魚の生息エリアは基本的には羽村より上流部になる。渓流釣り場として多摩川を見た場合、都心から近く、交通の便のよいことに大きな価値がある。道路は、青梅マラソンで有名な青梅街道が青梅市内から小河内ダムを経て最上流部まで、よく整備されている。JR青梅線が川沿いを縫うようにして走っているので、青梅駅より先のどの駅から降りても、川まで徒歩で簡単にアクセスすることができる。最上流部をのぞき、多摩川は深山幽谷を流れる神秘の川ではない。むしろいつも人間の生活に密着しているコンビニエンス感にあふれた川だ。 ■本誌の創刊号(一九八七年)に、多摩川の大ヤマメをイブニングライズで釣る記事が掲載されている。多摩川はかつてフライで大ヤマメを狙える釣り場として全国的に脚光を浴びていた。が、その期間は短く、わずか数年後には「多摩川は釣れなくなった」、「多摩川はもうだめだ」といった声が聞こえるようになり、今ではフライフィッシャーマンにとってヤマメ釣り場としての多摩川はすっかり昔話になってしまっている。 ■ふたたび多摩川がヤマメの好釣り場としてフライフィッシャーマンから注目される日はあるのか。今後どうすれば、東京都民を中心にした多くの釣り人が〈いつでも気軽に渓流釣りを楽しめる多摩川〉になりうるのか。まずは多摩川のヤマメ釣りが「よかった」時代をふりかえりつつ、どのような経緯で現在のような状況に至ったのかを探った。