「蒸すだけ、うまいよ!」上海ガニ

2016年度魚類学会公開シンポジウムのお知らせ  

市民公開講座のお知らせ
魚類にみる最新の外来種問題

開催日時: 2016年8月27日(土) 13:00-17:00
開催場所: 名城大学天白キャンパス

最新の環境省レッドリストには,淡水魚類(汽水魚類を含む)の全体のおよそ30%が絶滅のおそれのある種として掲載される状況にあり,魚食性外来魚などの移殖放流の広がりが,淡水魚類の多様性の喪失をもたらす主要因の一つとして,看過できない重要な問題となっている.特に,全国的に平野部の止水域を中心に定着したオオクチバス・ブルーギルは,在来の淡水魚類等に深刻な打撃を与えていることから,外来生物法施行時に特定外来生物に指定され,現在も新たな防除のための技術開発を含め,さまざまな取り組みがなされている.本公開講座は,水辺の自然や環境の問題に関心を持つ一般市民に対し,生物多様性を脅かす外来魚への対策の最新の状況・対策を紹介し,外来種問題への関心を深めてもらうことを目的とする.

プログラム

第一部 外来魚問題:最近の動向
講演1:外来生物法施行から10年,外来魚問題のいま:オオクチバスから
    ブラウントラウトへ
    中井克樹(琵琶湖博物館)
講演2:オオクチバス等の外来魚の新たな駆除方法の開発
    藤本泰文(宮城県伊豆沼・内沼環境保全財団)
講演3:コイは外来魚か?最新のDNA研究から見えてきたこと
    馬渕浩司(東京大学大気海洋研究所)
講演4:世界ワースト外来種100のコイが在来生態系に及ぼす影響
    松崎慎一郎(国立環境研究所)
講演5:行政が取り組む外来種対策:福岡県の事例紹介
    中島 淳(福岡県保健環境研究所)
講演6:北アメリカに見る外来魚類の遊漁管理のあり方:日本の未来になりうるか?
    谷口義則(名城大学理工学部)

日本魚類学会がみずから身体を張って、乱開発から魚の生息環境を守ったり、原発反対を口にしたとは聞いたことがない。体制に寄り添って、安全地帯から外来種や移入種を問題化するのにご執心のようである。愛する魚の生存を破壊する根本原因へ、なにも言えない、なにも言わない魚の専門家の集まりってなんなんだろう。

> 日本魚類学会自然保護委員会がだした要望書提案書一覧

このように、魚類学会の放射能スルー力(りょく)はまったく見事である。2011年でさえなにも言っていない。原発事故だけでなく、放射能による魚の形態異変、汚染廃棄物、水の放射能汚染、原発からの温廃水の個体群への影響など、魚と放射能と人間社会をめぐるテーマと発言機会はたくさんある。

さいきんの流れだと、原発を進めたい側は、放射能汚染地帯を「人間が入れない自然の宝庫」などと評価しかねない。生き物の専門家が見て見ぬふりをする、なにも言わないというのは、そういう開きなおりを助長する行為だ。もっともこれはべつに魚類学会に限ったことではないけれど。

講演1さんはどこかで見た名前だと思ったら、上海ガニの人だった。上海ガニを自分で食べたこともないのに、政府の尻馬に乗っかって輸入を規制した(「環境省で上海ガニ問題を激論」2005)。この方はあれから上海ガニを食べたのだろうか。

と思って[上海ガニ]で検索したら、2015年に特定外来生物法がらみで、こういう摘発があったのを知った。

「蒸すだけ、うまいよ!」

無許可で上海ガニ209匹販売 容疑の中国人2人書類送検 警視庁

特定外来生物の上海ガニ209匹を生きたまま無許可で販売したなどとして、警視庁生活環境課は20日、外来生物法違反容疑で、…を書類送検。法人としての2社も送検した。2人は中国籍で、容疑を認めている。

送検容疑は、…生きた上海ガニ109匹を7万2千円で譲渡。運営する上野アメ横の食品店の店頭で、在庫と合わせ209匹を販売目的で飼養したとしている。

上海ガニの飼養は環境省などの許可が必要だが、…は許可を得ていなかった。昨年12月、捜査員が…生きた上海ガニが陳列されているのを発見。

客を装って店員に食べ方を聞いたところ、「蒸すだけ、うまいよ」と薦められるなどしたため販売目的の飼養と判断した。

2015.2.20 産経ニュース

送検された方は、〝お客様にせっかく美味しい上海ガニを食べてもらおうと思って薦めたのに、まさかお巡りさんだったとは。〟と悔しそうに言ったとか言わなかったとか。まったくあほくさい。

こういうどうでもいい記事を伝えるときの産経は、妙に熱心で、楽しそうで、うまい。

2016年8月15日に、新しく特定外来生物が指定された。魚類はだれも知らないようなマニアックどころを中心に、12種類が追加された。今回の目玉はオオタナゴだろう。目玉とか言ってる時点でおかしいのだが、外来生物法の制定時に、この法律の目玉はブラックバスだと小池百合子は明言している。

オオタナゴの特定外来生物指定については、それこそ魚の専門家が専門家としてきちんと働かなくてはいけなかったのだが、そうはならなかった。また別の記事にします。

蒸すだけ、美味いよ!
蒸すだけ、うまいよ!

魔魚狩り ブラックバスはなぜ殺されるのか 水口憲哉(著)|ブラックバスは、濡れ衣だ! 異色のベストセラー
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桜鱒の棲む川 水口憲哉(2010)
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『淡水魚の放射能 川と湖の魚たちにいま何が起きているのか』(水口憲哉=著/フライの雑誌社刊)
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