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メーカー参加者(敬称略・順不同)
杉坂隆久(TSR)
岡田裕師(O−Rex)
杉浦雄三(TEAL)
清水一郎(クレオール)
久野康弘(アクアビット)司会進行
>公開座談会 その1からの続き
久野 耳の痛い、難しい問題ばかりですね。釣り場の数と質の話ですが、業者の立場からすると、お客様である釣り人には当然増えてもらいたい。でも人が増えると一人頭のフィールド割り当ても減ります。私はいまだに業者と釣り人としての立場の整合性がとれず、ジレンマを感じます。岡田さんはどうですか。
岡田 フライフィッシングのフィールドは、まだかなり限定された地域でしか成り立っていないと思うんです。ぼくはそのフィールドをもっと増やしていくことをやっていきたい。新しい場所や楽しみ方を提供したいですね。
久野 杉坂さんはいかがですか。
杉坂 このままではダメになるでしょう。フィールドの問題もあるし、現にフライフィッシングの釣り人は減っていると感じる。だからぼくは、キャッチアンドリリースの釣り場を増やしたいと思っています。釣れれば人は来るんだよね。
岡田 内水面は放流を続けないと魚が減ってしまう釣り場ばかりですね。
杉坂 日本の川は本来すごくいい素性を持っていると思う。魚がいられる環境を作ってあげれば、釣り場は増える。魚が釣れる釣り場を作れば、ほっておいても釣り人は増える。だからぼくができることは、魚が釣れる釣り場を増やすことだと思ってる。ぼくは今、ちょっとでも可能性がありそうなことには、手弁当で何でも首を突っ込んでいますよ。Wさんはぼくより古くからフライフィッシングをやっていますが、昔の釣り場は今より釣れましたか。
会場・Wさん 今より釣れなかったと思います。キャッチアンドリリースの釣り場もなかった。
杉坂 キャッチアンドリリースの釣り場が全国に増えたのは、冷水病でアユの売り上げが落ちたときでした。アユがダメになったこともあって、渓流釣りに漁協の人が目を向けてくれるようになった。
会場から 最近はエサ釣りでもリリースする人も増えています。
杉浦 長野県の犀川の話ですけど、エサ、ルアーよりも圧倒的にフライフィッシングの釣り人が多い。本流だから釣りきられる可能性が少ない。魚もそれなりに残ります。ぼくは去年、地元の観光業の方から依頼されてゲームフィッシングのイベントを開きました。漁協は最初ダメだと言ってたんだけど、2日間だけ許可をもらって、結局70人ほどのフライフィッシャーマンが集まりました。それなりに地域の経済に貢献したと思います。
杉坂 ぼくはそのイベントを知らなかったな。
杉浦 今年はもっと宣伝をしてまたやりたい。地域の人に受け入れられれば、フライフィッシングをやっていても楽しいですから。
若い世代に釣りの面白さを伝えたい
水辺で遊ぶリスクを親が必要以上に大きくとらえているんでしょう。(岡田)
若者がいない遊びは将来落ちるのは明白ですからね。(久野)
久野 杉坂さんはフィッシングガイド・ビジネスもやっていますね。それを少し話してください。
杉坂 ガイドはスクールよりもお客さんと接する密度が濃くなります。先週の本栖湖ガイドは、キャスティングを教えてほしいということだったので、キャスティングの講習が主になりました。私はお金をいただいている立場だから、お客さんの要望でなんでもします。
久野 よろしければお値段を教えてください。
杉坂 お一人だと、1日25000円です。お二人なら、一人18000円。それに交通費がプラスされます。
久野 アメリカのガイディングから考えると安めですね。
清水 大安売りだ。
杉坂 ソフトにお金を払ってもらうのは、日本だと難しい。
清水 いやアニキ、お客さんが価値があるって思えば払いますって。
杉坂 ガイドの金額は、僕が属してるガイド組合に倣ってるという理由もある。
清水 なんで横並びにしようとするのかな。スクールでもガイドでも、高くたって対価価値があればお客様は来ますよ。釣りは今のところスキーやゴルフに比べてお金を生み出さない遊びだから、地元経済はちょっとでもお金を生みそうな遊びにすぐなびいてしまう。だから釣り人の数がもっともっと増えて、発言力を持たないとだめだと思うんです。最悪なのは、少数派になって意見を握りつぶされちゃうこと。アングラーにとっても業者にとっても、それが一番不幸なことでしょう。だから私は、釣り人が増えるのは大歓迎なんです。フライフィッシャーマンって、威張りたがる傾向があるでしょ(笑)。でも敷居を高くしたらだめだよ。垣根を業者やプロの方から壊していかないと。
杉浦 フライフィッシングを人に勧めるときいつも思うのは、キャスティングがネックになっちゃう、ってこと。そこをクリアしないと釣りにならない。フライフィッシングはキャスティング以外にも手間の掛かる要素が多いから、はまる人は徹底的にはまるけど、最初のとっかかりが難しい。
清水 こんな面白い遊びなんだから、はまる人は勝手にはまりますよ。釣り場のあり方、釣りの種類、楽しみ方、その選択肢が多ければ多いほど、面白さを知ってくれる人も多くなると思う。私はフライが大好きだから、この面白さをたくさんの人に知ってもらいたい。その結果として業界も潤うだろうし。そのためには僕ら業界がまずしっかりしてないといけない。
岡田 今はフライフィッシャーマンに若い人が全然いないでしょう。将来的にはかなり不安ですね。杉浦さんの下の世代はほとんどいない。当然、子供の釣り師もまったくない。親が教えないんだから子供が一人でフライフィッシングをできるわけないし。このままだと、どんどん先細りしていくしかないのかなって思う。
清水 だからもっと質の高いもの、サービスを業界がみんなで提供していくんだよ。
杉坂 15年前はバスロッドを自転車に積んだ子供が走り回っていた。いまは全然見ないよね。
岡田 水辺で遊ぶリスクを親が必要以上に大きくとらえてるんでしょうかね。
清水 水辺が危険だというのなら、ライフジャケットの意味だとかをPRするのもぼくたちの責務でしょう。
杉浦 昔みたいに、親子で釣りに行く人は今、少ないのかな。
清水 私たちには親子で楽しむ釣りについてだってノウハウがあるでしょ。安全が第一なのは当たり前だけど、それをPRするのは私たちプロの仕事です。
久野 アメリカでは5〜15歳くらいの子供のフライフィッシング体験会をよくやっているんです。撒き餌して浅瀬に寄ったホワイトフィッシュを釣らせるっていう、大人から見たらとてもフライとは言えないようなものですけれど、喜々として釣ってる。「リバーランズスルーイット」が流行る前からやってるらしいですが。それを手伝っていたあるショップオーナーいわく、そういった経験を持った子供は将来、25パーセントの確率で釣りの遊びに戻ってくるのだとか。オトナの財布を持てるようになって、サーフィンでもバイクでもスキーでも、いろんな遊びの選択肢が広がったときに、幼い頃フライをやったことがあるという原体験が蘇ってくるのでしょう。スティールヘッドの回帰率なんて3パーセントなのに、25パーセントの回帰率を誇るこの素晴らしいイベントを、なぜ日本ではやらないのかと、おなじ人が言っていました(笑)。
杉坂 それいいね。
久野 まあ正直、明日をも知れない小規模メーカーにとっては10年後なんか想像もつかないところがありますが、それくらいのスパンで考えていかないと、どうにもならない時期に来ているみたいですね。若者がいない遊びは将来落ちるのは明白ですからね。というわけで、子供たちを対象にしたフライフィッシングの招待イベントをやったら、時間は長くかかるかもしれませんが、フライフィッシングの面白さを広めていくことになるんじゃないかと考えるんですが、他の皆さんいかがでしょうか。
岡田 こんな時代だから、親がフライをやりたくてもできない事情があったり、何らかのきっかけが必要かもしれませんね。
杉坂 前々回のフライフィッシングフェスタで「親と子のフライフィッシング教室」をやったらものすごく人気があったしね。
久野 子供が来てくれれば親も来てくれるでしょうから、バーベキューも用意してフライフィッシングと絡めれば、親も子も楽しめます。
杉坂 今の子供は野外体験が少なすぎる。
久野 どうですか皆さん。今年の6月ころ、もういちどこの場所でイベントを企画しませんか。(会場拍手)
釣りの将来を語るといってもテーマは広く、とても語りきれるものではない。日本の釣り場を語る上では避けて通れない漁業制度の問題など、真剣にかつ危急に取り組むべき課題が山積みである。
これまでこのようなテーマについて触れようとしなかった釣り具業界の「プロ釣り師」たちが、忌憚のない議論のテーブルについたことに意義はある。今後の展開が注目される。(編集部)
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