フライの雑誌-第63号

フライの雑誌第63号
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フライの雑誌特集いつだって、初心者時代

フライフィッシングを始めたばかりの人はもちろん、ン十年フライをやって背中に苔が生えてしまったような人も、発想次第でずっと新鮮な驚きと発見をもって楽しみ続けられるのが、フライフィッシングの魅力です。
追いかければ追いかけるほどフライフィッシングという迷宮はややこしく混み入って、釣り人をさらに奥へ深みへと誘います。
あなたの釣り人心はささくれだっていませんか。フライを始めたばかりの頃のドキドキ感を、今も持ち続けていますか。

税込価格1,250円

ISBN 9784503155559


INDEX

009 道南の海サケ
012 心に残るあの一匹 本流の野生ニジマス 小甲芳信
017 特集◎いつだって、初心者時代
034 発言! ニジマスが消える日! 三浦幸浩
038 日本釣り場論29 「釣り人へ喜ばれる魚を作る」ために・・・ニジマス養殖100年、「遊魚」へシフトする国内養鱒業 林 総一郎
043 スレっからし烈伝 ヨーザワのニジマス 木住野勇
044 ミニエッセイ 印象に残るあの味
050 ハヤブサの目、ひがみ目 菊池千秋
054 釣りをしない時間に TKYの夜に「フライな酒場」を求めて 大谷 新
057 隣人のフライパッチ 2 日光・湯川篇
062 優しき水辺 54 斉藤幸夫
064 そのとき水面は炸裂した トップウォーター・シーバッシングの研究 北見康太郎
071 これで万全! 船酔い必勝法 平野貴士
072 Life Finds a Way 渡辺貴哉
076 フィールド通信 奥多摩に根づくか、「持ち帰り制限」(バッグ・リミット:Bag Limit)という新発想 編集部・ 三上隆
080 イワナをもっと増やしたい! 17 「個体群管理」によって、魚を守り、増やし、そして釣る 中村智幸
084 釣り場時評 39 バス問題とサツキマスにおける作為と作意 水口憲哉
088 フライフィッシングとインターネットの幸せな未来のために (上) 片山哲也
093 私はこうして「大戸川ニジマス釣り場」を始め、そして身を引いた 田中祥介
094 私がプロ・バンブーロッドビルダーを辞めた理由 渡辺 裕
098 マイルストーンズ カルロス菅野
100 F君の場合 北風とスナフキン 津田真一
104 九重町界隈通信8 学校行かんでよろしい 田中典康 現代フライ用語の基礎知識 2003 【最終章】 橋本辰哉
109 9月の宇宙 宮澤達也
110 コンプリート・マテリアル解剖実習 第1回 「マラード・ダック」 コンプリートには夢がある 斉藤良文
116 ネルソンだより 9 キョーコ=マーフィー
122 住みこみ校長 薄井昭司
126 魚の数だけ楽しみがある! 1 杉山 充
130 隣人のフライボックス 第56回 中沢 孝
136 追悼 中沢 孝 ―中沢さん、早く死にすぎだよ。百まで生きてフライ界の激辛爺さんになってもらいたかったのに… 島崎憲司郎
135 ある釣り人の900日 中沢和子・編集部
146 読者通信
150 トラウト・フォーラム通信

内容紹介

フライの雑誌第63号-01
フライの雑誌第63号-02
フライの雑誌第63号-03
フライの雑誌第63号-04
フライの雑誌第63号-05
フライの雑誌第63号-06
フライの雑誌第63号-07
フライの雑誌第63号-08
フライの雑誌第63号-09
フライの雑誌第63号-10
フライの雑誌第63号-11
フライの雑誌第63号-12
フライの雑誌第63号-13
フライの雑誌第63号-14
フライの雑誌第63号-15

特集-いつだって、初心者時代

心に残るあの一匹 本流の野生ニジマス 小甲芳信
朝霧のなか、対岸に見える小さなポイントが目にとまった。プールの半分以上がひざ下の深さで、バンクの際はかろうじて太腿まであるくらい。しいてポイントと言えるのは、倒木が沈んでいること。40センチ前後のマスが薄明かりの下で、なにかを食んだように見えた。眼を凝らすと、同サイズが3~4匹フィーディングしているではないか。

発言! ニジマスが消える日! 三浦幸浩
ご承知の方も多いと思いますが、北海道の野生を取り戻したニジマスは西洋鎧を身にまとったような金属的な輝きと盛り上がる筋肉、切れ味鋭いソードのような尾ヒレを持ち、その戦いぶりは放流物のニジマスとはまったく別な生物であり、フライフィッシャーマンたちの好敵手でありました。

しかしそんな北海道のワイルドレインボーにいま逆風が吹き始めているのです。 

日本釣り場論29
「釣り人へ喜ばれる魚を作る」ために・・・ニジマス養殖100年、「遊魚」へシフトする国内養鱒業  林 総一郎  2003年9月6日(土)・7日(日)の2日間、東京都港区にある東京水産大学(10月1日に東京商船大学と統合し東京海洋大学へ改称)で、公開講座『釣りの科学~釣りの未来を考える~』が開催された。この講座のなかで、『新時代の内水面遊魚産業』と題したレクチャーを(株)林養魚場の林総一郎氏が行った。 水産養殖業の現場から「遊魚=釣り」をビジネスの視点にのっとり、客観的に分析したレクチャーは、釣りをしない受講者にも釣りをする人にも興味深い内容だった。

ミニエッセイ 印象に残るあの味
中島賢治・上利邦幸・橘 利器・小沢福夫・岩谷 一・工藤信明・松田洋一 
… 7人のフライフィッシャーマン達が印象的な「味」をつづる。

隣人のフライパッチ 2 日光・湯川篇
自分は自分、他人は他人、と言いつつも、隣りの釣り人がどんなフライを使ってどんな釣りをしているのか、やっぱり気になります。とくに自分が釣れていないのに、すぐ隣りで妙にたくさん魚を掛けられると…。しかし面と向かって「どんな釣りしているんですか?」と聞くのは、ちょっと勇気がいります。

そのとき水面は炸裂した
― トップウォーター・シーバッシングの研究―  北見康太郎

淡水、海を問わずこれまでフライフィッシングでいろいろな魚種を釣ってきた。季節に合わせて魚が食っている餌にフライを合わせれば、たいがいの魚は釣れると思っている。しかし、スズキについてだけはいまだよい思いをしたことがない。セイゴサイズならともかくスズキを狙うとなると、私の通っている釣り場では、釣りづらい条件が多すぎる。

フィールド通信
奥多摩に根づくか、「持ち帰り制限」(バッグ・リミット:Bag Limit)という新発想 編集部・三上隆

今回のニジマス成魚放流については、奥多摩漁協からの「持ち帰り制限」(バッグ・リミット:Bag Limit)が実施される。持ち帰り10尾までという数字と実効の如何はともかく、これまで無制限釣り放題状態が放置されてきた奥多摩川の釣り場管理の歴史を考えると、新しい試みである。

イワナをもっと増やしたい! 17
「個体群管理」によって、魚を守り、増やし、そして釣る 中村智幸

人間は太古の昔から魚を獲って、食べてきました。昔は魚がたくさんいて獲り方もそれほど発達していなかったので、少しくらい獲っても、魚の数は減りませんでした。しかし、近年では、環境の悪化によって生息数は減少し、一度にたくさん獲れるような漁法も開発されたため、みんなが勝手に獲ると、魚の数はあっという間に減ってしまいます。乱獲です。人間が利用する魚を「水産資源」といいますが、水産資源を乱獲しないようにし、場合によっては人の手で増やしてあげて、永続的に獲れるようにすることを「資源管理」といいます。

釣り場時評 39
バス問題とサツキマスにおける作為と作意 水口憲哉

…この数年いわゆるバスの駆除派と呼ばれる人々が筆者を名指しで批判することはほとんどなかったが、ただ秋月岩魚氏だけが二冊の著書で具体的に筆者の発言を批判している。… その中で秋月氏は、日本の内水面の釣り場が「釣り堀」化していると筆者が主張することを批判しているが、…この点についてはもっと現実を直視してくださいというしかない。実はこのことは後述する生物多様性とも深く関わっている。 それはともかく、秋月氏達はなぜ本誌で私自身が書いていて責任をもてるものについての批判をしないのか。最初に考えられる理由としては、書かれていることがまともすぎると言うかある意味では常識的なことなので、生物多様性は絶対正しく世の中のことはそれですべて律すべしという彼等の考え方では太刀打ちできないというか難くせがつけにくいということかもしれない。『フライの雑誌』の発行部数が多くないので見ていないというのは理由にならない。

フライフィッシングとインターネットの幸せな未来のために(上) 片山哲也
インターネットが普及したことによって起こったのが、雑誌やテレビといったマスコミ経由ではない情報の伝達だ。インターネットを経由して情報が発信者から受信者へと直接配信されるようになり、情報伝達手段の民主化が起こったとも言えるだろう。つまり、一人が一つのメディアを持てるという時代になったわけであり、これがインターネットが果たした最大の役割ではないかと思う。

しかし、今の日本の状況を見ていると、いろんな点で出版物とインターネットの間で歪みが生じている時期ではないかと感じられる部分があるし、アメリカや韓国の状況と比較すると、悪い方向に進んでいると思える部分もある。

コンプリート・マテリアル解剖実習 第1回「マラード・ダック」 コンプリートには夢がある 斉藤良文
コンプリートを買う意義もしくは利点について考えてみよう。…バラでパック詰めにされて英語名を付けられて売られているマテリアルは、生き物のもとの生々しさがほとんど消えてしまう。それを思い起こすには、後述するが私のように生の鳥からコンプリートを作ってみてもいいかもしれない。ちなみにパック詰めに限らず、マテリアルには併記でいいから日本名も書いて欲しい。だってティールって言ったってコモン(グリーンウィングド)ティール・コガモかバイカルティール・トモエガモかファルケイテッドティール・ヨシガモかわからないじゃないか。

魚の数だけ楽しみがある! 1  杉山 充
既製品のインジケーターをつけて排水溝ポイントにフライを流した。訳もわからぬまま、排水の流れに同調させるかのようにフライをドリフトした。するとフライにアタック、ダイレクトに伝わるアタリ! 思惑通りの展開に感嘆したのである。

―フライフィッシングで、いったい、何種類の魚を釣ることができるか。壮大で無謀な、私のフライフィッシングのテーマが生まれた瞬間だった。

隣人のフライボックス 第56回 中沢 孝
一緒に釣りへ行っても、仲間へほとんどフライボックスを見せてくれなかった。ライズがあるとしつこく何時間も粘り、大抵はモノにした。「中沢ボックス」にどんなに大変なフライが詰まっているのかは、大きな謎に包まれていた。

追悼 中沢 孝
―中沢さん、早く死にすぎだよ。百まで生きてフライ界の激辛爺さんになってもらいたかったのに…  島崎憲司郎  あれは二年前の二月五日、今にも雪が降りそうな底冷えのする日だった。午後四時頃、外出から帰った僕は、ふと思い立って中沢さんに電話してみた。しばらく音信不通だったので、たまには声を聞いてみるかぐらいの気まぐれだったのだが…。

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