「ほらやっぱり害がない」

福島県阿武隈川のヤマメが140ベクレル/kg。ヤマメの寿命はせいぜい3年。新世代の魚も汚染されている。1年で世代交代するアユも同130ベクレル/kgと高い。それだけ環境中の放射能汚染が続いているということ。仙台市のイワナは160ベクレル/kg。

栃木県中禅寺湖のニジマスは54ベクレル/kg。群馬県赤木大沼のワカサギ110ベクレル/kg。霞ヶ浦ギンブナは51ベクレル/kg。霞ヶ浦ワカサギは28ベクレル/kg。湖沼に棲息する魚の汚染は総じて落ちづらい。

国が発表した福島第一原発事故後の健康調査を根拠として、「健康被害は起きていないじゃないか。」と仰る方がいる。でもチェルノブイリや海外の核施設周辺の、東日本と同等かむしろ低い放射能汚染地帯では、現実に悲惨な健康被害が隠しきれない。ちょっと調べれば分かる。『淡水魚の放射能』にも書いてある。

こと原発に関して、政府は国民にウソを言い続ける。そのことを、それこそ福島第一原発の事故で、私たちはいやというほど思い知らされてきているはずだ。もう忘れちゃったんですか。

〝これくらいの原発事故〟では本当に健康に害がないなら、いっそ食品衛生法の規制も1000ベクレル/kgくらいにすればいい。そうすれば、東日本の放射能汚染地域でも、自由に釣りを楽しめる。気分的なものは別として。そして今止まっている原発はばんばん再稼動すればいい。

ただし、原発を再稼働させたい政治家と、事故の原因企業である電力会社のエラい人たちは、まず家族もろとも全員、福島第一原発の敷地内に引っ越すこと。999ベクレル/kgの食品を気にせず食べて、10年くらい楽しく暮らした後に、「ほらやっぱり害がない」と宣言すること。

そもそも、汚染水だの炉心溶融だの、手が付けられなくてぐちゃぐちゃになっている福島第一原発の始末をきっちりつけてから、〝健康被害は起きていない〟でも何でも口にするべきではないかな。

> 淡水魚の放射能汚染まとめ
 放射能汚染を釣り人としてどう受け止めるか(2014/08/29更新

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淡水魚の放射能―川と湖の魚たちにいま何が起きているのか
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