釣り人は自分自身で考えましょう。

茨城県の久慈川第一漁協は、東京電力福島第一原発事故に伴い決定した矢祭町の久慈川のアユ釣り中止を撤回し、例年通り解禁する。この記事中にある「久慈川上流のヤマメとウグイから新基準値を超える放射性セシウムが検出された」という3月の測定結果はこちら。

ウグイ 棚倉町(久慈川)  191ベクレル/kg
ヤマメ 棚倉町(久慈川)  203ベクレル/kg
農林水産物モニタリング情報 ふくしま新発売。より)

日本の川釣りの初夏の風物詩であるアユ釣りを、原発事故以前と同じように楽しみたい、と多くの釣り人が思っている。釣り媒体は例年通りの久慈川のアユ解禁をよろこび、「このまま無事に解禁を迎えられますように」と祈っている。もちろん原発事故による汚染被害は、なければない方がいいに決まっている。

淡水魚の放射能汚染は、日本では今までまったく研究されてこなかった。チェルノブイリ原発事故とアメリカでの淡水魚の放射能汚染のデータはたくさんあるが、なぜかそれらは日本には紹介されてこなかった。

水口憲哉氏の単行本近刊『淡水魚の放射能』は、諸外国の汚染地域でなにが起こったかを検証し、これからの日本の淡水魚になにが起きるのかを予測する内容だ。アユの項目もある。現在急ピッチで執筆を進めているが、本の出版はアユの解禁には間に合いそうもない。

前例がない汚染であるのだから「安全」や「大丈夫」をアピールするのではなく、現段階では放射能汚染の被害は「わからない」と言うのが正直な姿勢だろう。

アユだけにかぎったことではない。釣り人は自分自身で考えましょう、としか言いようがない。