外来種パブコメで北海道が意見提出者のメールアドレスを流出

4月11日20:24、北海道 環境生活部 環境局 生物多様性保全課 生物多様性戦略グループからメールが届いた。【下部引用記号内/画像:cap01】

過日、本欄でも案内した「北海道外来種対策基本方針(素案)」への、意見募集(パブコメ)結果を案内するメールだ。

生物多様性保全課生物多様性戦略グループからの宛先は、〈意見を提出してくださった皆様〉となっている。ところがこのメールが、BCC(Blind Carbon Copy)になっていなかった。

〈意見を提出してくださった皆様〉のメールアドレスがすべて読める状態になっていた。その数185件。〈フライの雑誌社/堀内 正徳〉というわたしの名前とメールアドレスも、その中にあった。

〈意見を提出してくださった皆様〉のメールアドレスを、単純に同報送信の宛先へコピーし、そのままメール送信したのだろう。いまどきここまで初歩的な、個人情報の流出事件もめずらしい。

『フライの雑誌』第101号に掲載しているように、「北海道外来種対策基本方針(素案)」のパブコメは、北海道内外から数多くの反響があった。編集部の取材によると、速報値で総数約230通。意見提出者の地域性は道内6割、道外4割。この総数と比率は、道庁実施のパブコメではたいへんめずらしいと担当者氏は言っていた。それだけ注目を集めていたわけだ。

外来種対策のような課題では、様々な立場の市民から異なる意見が集まる。それを集約させるべき当の北海道が、意見提出者の個人情報を流出させるとは、なんともお粗末だ。

北海道は、2014年3月に定めた「北海道外来種対策基本方針」において、外来種を放つこと等が、本道固有の生物多様性への脅威となっていることの認識を深め、外来種を「入れない」「捨てない」「拡げない」ことを基本とした外来種対策を円滑に進めると、記述している。

しかし、意見提出者のメールアドレスをccで外部へ流出させてしまう組織が、外来種を適切に管理するという困難で重要な施策を実施できるのだろうか

このような個人情報流出事件を引き起こす原因はメールを送信した一担当者のケアレスミスではない。問題は組織ガバナンスの甘さにある。

メールアドレスすら管理できない組織に、外来種を管理できるとは思えない。

近日中に北海道へ正式に抗議したい。

(フライの雑誌社/堀内正徳)

追記1: 4/14から道庁環境生活部はメアド流出事件の被害者へ謝罪電話をかけ始めている様子。謝ったところで流出させた情報はとり戻せない。〈「入れない」「捨てない」「拡げない」〉が道庁の外来種への基本対策らしい。北海道庁は自身が個人情報保護への脅威となっている認識を深め、個人情報を「捨てない」「拡げない」「ccで送らない」ことを基本とした個人情報保護対策を円滑に進めてほしい。

追記2: 4/14、「あなたのメールアドレスは、偶然の機会で知ることができました。私もあなたと同じく、北海道におけるニジマスの現状を今後どのようにしてゆくべきかに強い関心があります。」で始まる、未知の方からの宛先なしのメールが送られてきた。ニジマスの食害を訴え、特定のブログへ誘導する内容。今回メアドを道庁に流出させられた他の被害者数名へも、同じメールが送られてきている。明らかに情報流出事件の影響だと考えるのが筋。

追記3: 【お詫び】ご意見提出者のメールアドレスの情報流出について 環境生活部環境局生物多様性保全課 【cap02】

追記4 :4/14の「あなたのメールアドレスは、偶然の機会で知ることができました。」で始まるメールは、やはり流出アドレスを利用したものだった。

2014年4月15日

意見を提出してくださった皆様

この度は、皆様に多大なるご迷惑をおかけし、誠に申し訳ございませんでした。道では、メールアドレス流出事故の判明後、皆様へのメールやマスコミ、生物多様性保全課のホームページにおいても謝罪させていただいたところです。

当該メールにつきまして、皆様に削除をお願いし、パブリックコメントをご提出いただいた際、電話番号の記載があった方に対しましてはお電話でも削除をお願いしたところですが、この度、削除のお願いが届かず、一斉送信した中のお一人の方から皆様の元へメールが発信されてしまったことにつきまして、重ねてお詫び申し上げます。

この方に発信の経緯を確認したところ、当方からのお詫びと削除依頼のメールに気づかず発信したとのことであり、皆様のメールアドレスの削除をお願いし、再び発信することのないよう申し入れを行ったところ、今後、発信することはないとのご回答を頂きましたので、お知らせいたします。

つきましては、当該メールにつきまして、アドレスの削除がまだお済みでない場合は、削除くださいますよう、重ねてお願い申し上げます。

北海道 環境生活部 環境局 生物多様性保全課長 白鳥 浩二

追記5 :4/15、北海道環境生活部環境局生物多様性保全課から、〈今回の件に関しての説明とお詫び〉の電話がかかってきた。すでに流出情報の悪用被害も発生しているし、原状回復もできない。電話してくる方もいやだったろうが、電話受ける方も(いやだなあ)と思いながら、いちおう言うべきことは言わないといけない。こういうことで、余計な税金が浪費されているわけだ。

・・・・・

意見を提出してくださった皆様

日頃、本道の生物多様性保全行政の推進にご協力いただきありがとうございます。
この度、道民意見提出手続(パブリックコメント)の意見募集結果について、次のとおり公表したのでお知らせいたします。
お忙しい中、貴重なご意見をお寄せいただき、ありがとうございました。

【公表方法】
○北海道のホームページ(環境生活部生物多様性保全課ホームページ)
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ks/skn/index.htm
○以下の場所での閲覧及び配付
・北海道環境生活部環境局生物多様性保全課(道庁12F)
・北海道総務部人事局法制文書課行政情報センター(道庁別館3F)
・各総合振興局及び各振興局(石狩振興局を除く)の行政情報コーナー

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北海道 環境生活部 環境局
生物多様性保全課 生物多様性戦略グループ
TEL:011-204-5987
FAX:011-232-6790
E-MAIL:kansei.shizen1@pref.hokkaido.lg.jp
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