クロポトキンとかなこちゃん

たまっていた「図書新聞」をまとめて開いた。わたしのかなしいアタマでは、「図書新聞」を開くのは、こころの余裕があるときにかぎられる。年明けから『フライの雑誌』第104号の編集にドブ漬けだったので、都合7通の週刊紙を読むのが今になってしまった。いったん戸をひらけば世界はひろい。

「図書新聞」7通。縮刷版並みのマイクロ級数。中学校の同級生に、超ちょいぽちゃ系な女の子Kちゃんがいた。Kちゃんの弁当箱はきわめて小さかったのだが、そこへきわめてギュウギュウにお米を詰め込んでくるのだった。ぼくらはそれを「ふとん圧縮袋」になぞらえて「圧縮弁当」と呼んでいた。「図書新聞」の版組みを見るたび、なつかしいKちゃんの「圧縮弁当」を思い出す。わたしはKちゃんに「風と木の詩」全巻を借りて読んだ。いま思うとKちゃん、腐れた女子の走りだったのだろう。
「図書新聞」7通。縮刷版並みのマイクロ級数。中学校のときの同級生に超ぽっちゃり系のかなこちゃんがいた。かなこちゃんはきわめて小さい弁当箱へギュウギュウにお米を詰め込んで学校へ持ってくる。箸をさせばそのまま持ち上がるくらい。ぼくらはそれを「圧縮弁当」と呼んでいた。「図書新聞」の版組みを見るたび、かなこちゃんの「圧縮弁当」を思い出す。わたしはかなこちゃんに「風と木の詩」全巻を借りて初めて読んだ。わたしがそっちの道へ進んだのはそのせいだ、なんていうことはない。いま思うとかなこちゃんは腐れた女子の走りだった。かなこちゃんのことはあらためて書きたい。ジルベール、きれいだよジルベール。何もしないよ、神かけて。
まとめ読みした7通のなかで、第3195号がわたしにはいちばんおもしろかった。
まとめ読みした7通のなかで、第3195号がわたしにはいちばんおもしろかった。
三一書房の本は学生時代にけっこう集めて読んだ。
三一書房の本は学生時代に意識して集めて読んだ。
流行りのピケティだってけっきょくクロポトキンの相互扶助論でしょ、ってところがよかったです。
アナキストには詩人が多いという。「俺は好きなように生きているのだから、みんな邪魔をしないでくれ。自分も邪魔をしないから」というのが個人主義的アナキズム。運動論を語ってはアナキストの名折れだ。流行りのピケティだってクロポトキンの相互扶助論でしょ、はよかった。アナキストと釣り師はすこし似ている。
やっぱりゴリゴリ・レビュー紙面白いなあ、とページを繰ったら『フライの雑誌』に寄稿してくれている荻原魚雷さんの原稿が。いえほんと偶然です。
やっぱりゴリゴリ・レビュー紙面白いなあ、とページを繰ったら『フライの雑誌』に寄稿してくれている荻原魚雷さんの署名記事が。いえほんと偶然です。
同じ本の書評をするのでも本文のこういう箇所に反応する書評家と、まったく反応しない書評家がいる。魚雷さんはもちろん反応するほうだ。そういうところが信用できる証だとわたしはえらそうに思うわけだ。だから魚雷さんが薦める本や雑誌は、かなりの確率で買う。いままでハズレたことがない。
同じ本の書評をするのでも本文のこういう箇所に反応する書評家と、まったく反応しない書評家がいる。魚雷さんはもちろん反応するほうだ。そういうところが信用できる証だとわたしはえらそうに思うわけだ。だから魚雷さんが薦める本や雑誌は、かなりの確率で買う。いままでハズレたことがない。

零細版元はだまってうつむくのみな、矢来町の内情ぐるり。
零細版元はだまってうつむくのみな、矢来町の内情ぐるり。

魚雷さんに「葛西善蔵と釣りがしたい」を見つけてもらえたのはほんとにうれしかった。
魚雷さんに「葛西善蔵と釣りがしたい」を見つけてもらえたのはほんとにうれしかった。