さあ、実釣!

「実釣」(じっちょう)という言い方がある。語源は知らないが、テレビの釣り番組あたりが使い始めたのが、よく聞くようになったきっかけだろうか。出演者が釣りをする前の釣り場周辺の観光情報や仕掛けの準備、解説のあとに、「それでは実釣に入ろう!」などとナレーションが入る感じだ。

はじめてこの言葉を意識したとき、「妙な言い方だなあ」と思った。いつのまにか当たり前に使われるようになっている。今ではブログや釣り雑誌の記事でも、ふつうに「実釣」が使われる。

まんま「実際の釣り」の意味だろうけど、わたしは使う気になれない。ぶつ切りにした台本のト書きみたいで、どことなくいごこちが悪い。仕掛けの準備も情報収集も観光も釣りのうちでしょうに、と思う。

あとは、「じっちょう」という音そのものも苦手だ。「じっちょう」と聞くと、「めんちょう」(面疔)や「だっちょう」(脱腸)や、「しゃっちょ」(社長さん)をイメージしてしまう。

浮き世を忘れる清々しい釣りが、一気に所帯染みる。だから、『フライの雑誌』の誌面では「実釣」は使ったことがないはずと思う。

──どうでもいい話でした。すみません。

お詫びに昨日のキャンプサイトの写真を。

編集部から80分、テントから5秒でヤマメの川。
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